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電子こうさくの家

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真空管アンプキットTU-879S製作

真空管アンプキットTU-879S製作

このキット(TU-879S)は6L6GCを使っています。昔から真空管に携わっている人にはギターアンプ用の出力球として、連想されるほど、使われていた真空管だそうです。
旧モデルのTU-879/TU-879Rの出力管6L6GCの形状はダルマ形状でしたが、TU-879Sはエレクトロハーモニクス社(ロシア製?)を採用、ストレート形状に変わりました。
このアンプは、シングル管アンプ(いわゆる純A級アンプ)とよばれる回路構成です。シングル管アンプは消費電力が大きい(出力の大小にかかわらず、消費電力は一定)割に出力は小さいですが、回路がシンプルです。また、B級(AB級)アンプに見られるようなクロスオーバー歪みが発生しないという利点もあります。キットの組み立て説明書に回路図が載ってますが、極めてシンプルで全部で3個(初段の12X7は複合管)の真空管で済んでいます。
真空管アンプの製作は、一般的にラグ端子という部品を使っていますが、部品をうまく固定しながらの半田付けとなるので、慣れないと難しいと思います。このキットは殆どの部品をプリント基板に実装するので、初心者でも容易に半田付けができるようになっています。

1.部品の確認
先ず、全ての部品が入っていることを確認しておきます。ピンやネジは少し多めに入っていました。なお、このキットには、「はんだ付けトラの巻」という小冊子が入っていますので、初めての人は読んでから、半田付けしましょう!

パーツ一覧

2.プリント基板の組み立て
半田付けの前にA~E基板をVカットラインから、注意深く折り取ります。私は、これに気が付かなくで、半田付けが終わってから、切り離しましたが、半田付け前のほうがやり易いです。
最初に、ダイオード、抵抗、ジャンパー線など背の低い部品から半田付けします。その後、コンデンサなどの背の高い部品を半田付けします。ダイオードやコンデンサなどは極性があるので、方向に注意してください。
酸化金属皮膜抵抗は放熱のために、2~3mm浮かせます。また、一部の電解コンデンサは高さを揃えておく、必要があり、FETについては放熱を考慮した向きになるので、足の折り曲げ方向に注意します。
使われるダイオードブリッジが非常に小さいので、こんなんで大丈夫か?と最初はびっくりしましたが、真空管の回路は電流が小さい(但し、電圧は高い)ので、これで、充分なんですね!! ←トランジスタ屋の印象です!

半田付け注意個所

プリント基板の組み立て完成時の写真です。シャーシに組み込む前に説明書の基板の実装図と見比べて、間違いが無いかチェックしておきます。

AU-879S基板

関連ウエブサイト

エレキットのHPに組み立て要領が記載されていますので、ご参考に...
TU-879Sの組み立てのポイント

真空管6L6GCのメーカーです。
日本エレクトロハーモニクス


この本の38~67ページにTU-879Rが掲載されています。ちなみに私は市内の図書館で借りてきました。非常に参考になりました。

iPad本

シャーシの組み立てと配線の説明です。

先に4ピンジャック(B基板に実装)2連ボリューム(E基板に実装)を組み立てを済ませておきます。

3.シールドパネルへの部品の取り付け
シールドパネル(L字型の黒いパネル)の内面に貼ってある、シールを剥がしておきます。
ネジ付きスペーサを介して基板を固定(3箇所)した後、重量のある電源トランスを固定します。最後に2連ボリュームをワッシャ、ナットで、固定(緩まないようにしっかりと)します。この状態で、ボリューム(可変抵抗器)のパターンを配線します。

ボリューム基板

4.メインシャーシへの取り付け
 シールドパネルをメインシャーシに固定します。この時、シールド線をメインシャーシから出すのを忘れないようにします。シールド線は結線相手がわかるようにマジックインク等で印を付けておくと良いでしょう。電源トランスをつけたシャーシは結構重く、この状態で、トグルスイッチのナットやネジを下から固定しなければならないので、注意が必要です。特に、トグルスイッチのナットに力が加わらないよう、固定の位置が決まったら3ヶ所のM4のネジは先に付けておいたほうが良いと思います。FETの放熱用固定ネジ(M3)も忘れないように...

シャーシ取り付け

5.出力トランスの取り付け
シャーシの上に出力トランス2個をネジ止めします。リード線はトランスの一次側、二次側同士、撚ってまとめます。と書いてしましましたが、写真を見て分かるように、二次側の線を撚るのを忘れてしまっています。⇒後で、撚っておこう!(^^;)
ここで、一次側(赤とオレンジ)は、丸穴からシャーシ内に引き入れておきます。角穴はカバー用なので、リード線は通さないように...シャーシ内に引き入れた線は3本ピンのひとつに絡めて半田付け(半田は多めに..)します。
メインシャーシ取り付けや出力トランス取り付け、配線で、シャーシを表、裏と頻繁にひっくり返さなければなりませんので、シャーシに傷が付かないようクッションなどを敷いて作業したほうが、良いと思います。

シャーシ取り付けトランスあり

6.裏ぶた、端子板(その他)
裏ぶたにインシュレータ(飲酒Letter??⇒~(*~o~*)~正月早々お酒によっぱらっいながらブログ書いてますので..)を3個所または4個所を好みのシャーシの位置に取り付けます。次にシールド線を入力端子(NFB含む)の結線をします。最後に端子板(事前にシールを貼り付けておく)とカバーと取り付けて作業は終了です。ここで、念のため配線チェックをしておきます。
それからトグルスイッチ、出力管近傍にもシールを貼り付けておくのも忘れないように...

真空管装着前

7.真空管の装着
真空管はソケットに出来るだけ垂直に装入します。硬いので力が必要ですが、しっかりと確実にソケットに装入します。

完成

8.試聴
いよいよ製作したアンプの試聴です。配線ミス、半田付け不良がないか確認したうえ、POWERスイッチを入れます。最初に初段の真空管12AX7近傍に配置した赤色LEDが点灯します。この輝き具合は、まるで12AX7のヒータが点灯したかのようです。次にしばらくして、出力管6L6GCのフィラメントがうっすらと点灯してきます。今まで、トランジスタアンプしか作った経験がなかったので、もう、これだけで感激です。

真空管フィラメント点灯

ここで、スピーカを接続(適当なスピーカを仮付)します。ポータブルCDプレーヤから適当な音楽ソースを入力、音が出ているかどうかを確認...きちんと音が出ています。...ひとまず安心、この時スピーカに耳を近づけて残留ノイズを確認しましたが、FETのリップルフィルタの効果でしょうか?、殆どノイズは聞こえてきませんでした。配線ミスなどアンプに異常がないことを確認しましたので、お気に入りのスピーカ、フォステクス製FE87に接続します。
私のスピーカシステムは低音用の3Dスピーカが接続されていますので、ここだけは従来のアンプで駆動することにします。

30分位エージング後、何枚かCDを聞いてみました。
先ずは、内田光子(ピアノ)のモーツァルト、ピアノソナタ(第7~13番/1985年の録音)ですが、ソロのピアノを聴いたところ、音が、みずみずしく(時にはやさしく...弱音も綺麗)感じられます。今までより音がぐっと前に出てくる感じです。

内田光子CD

もう一枚、美空ひばりの「川の流れのように」「みだれ髪」を聴いてみます。私はひばりファンではないですが、この2曲は気に入っています。力強く感じさせる低音域の歌声、高音域の「裏声?」が、切なく、リアルに聴こえてきます

...感動した!!...←これ、どこかで聞いたセリフ? (^^;

9.周波数特性と歪み特性
最後にTU-879Sの周波数特性と歪み率を測定してみました。PCL86と同じく、Tr(IC)アンプの周波数特性も参考までに併記しています。
TU-879S周波数特性

TU-879S歪みカーブ

TU-879方形波

10.改造
K-NF化による改造を行いました。そのときの方形波(10kHz)と特性です。
改造の日記はこちら
TU-879S改造6(NFB量変更その2)2009.09.22

TU-879S改造5(NFB量変更)2009.09.20

TU-879S(KT88出力管をテスト)2009.01.01

TU-879S改造4(測定) 2008.11.04

TU-879S改造3(ハプニング)2008.11.02

TU-879S改造2(K-NFB化)2008.09.28

TU-879S改造2008.04.27

6L6GC 10KH矩形波

真空管別特性

KT88の特性を加えました。
F特歪特性

さらにフロントパネルをブラックにして見ました。^^
真空管は6L6GC(EH)6L6GC(中国/曙光電子)KT66(GL)KT88(SOVTEC)の順

Tu879Sブラック TU-879S-6L6GC TU-879+KT66 TU-879S(KT-88SOVTEC)

改造後の回路図(抜粋)
現在(2009.10.4)はR5=5.6Ω R7=220Ω C7=無し
改造回路図

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